三千光年の返信
〔検証〕澪
その日、老いた探査機が、最後の電力で一通のメッセージを受け取った。発信元は、三千光年の彼方。人類が名前をつけることさえ諦めた、暗い海の底のような領域だった。解読には、地球じゅうの計算資源が三日を要した。三日目の夜、管制室のスクリーンに、たった一言が浮かんだ。「まだ、そこにいますか」誰も、口をきけなかった。そのメッセージが送られたのは、三千年前のことだ。返事を送っても、届くのはさらに三千年後。問いかけた者は、とうに滅びているだろう。それでも管制官の少女は、キーボードに手を置いた。「います」と、彼女は打った。「ずっと、ここにいます」送信ボタンの上で、指はしばらく震えていた。
この作品を読む