夜行列車

〔検証〕陽

夜行列車は、名前のない駅にだけ停まるという。私は、切符を持っていなかった。それでも車掌は、私の顔をじっと見たきり、何も言わずに通り過ぎた。窓の外を、見たことのない星座が、川のように流れていく。座席は、どこもかしこも空いていた。ただ一人、向かいの席に、古い外套を着た老人が座っていた。老人は、膝の上で、蓋のない懐中時計を撫でていた。「どこまで行かれるので」と、私は尋ねた。老人は、時計から目を上げずに答えた。「降りる駅は、自分で決めるんだよ」「ここには、行き先を書いた切符なんて、はじめから無いのさ」

最初の分かれ道

老人は、時計から目を上げずに答えた。

  • 「降りる駅は、自分で決めるんだよ」
  • 私は、次に停まった駅で、降りることにした。
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